陽子さんのコラム
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第1回 高性能多機能電化製品男
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子供は誉めてやるとその後からものすごく頑張るようになる。
そうやりとりしながら着替えができるようになりトイレもできるようになった。
私に何も隠し事などしない。
余計な物がない「シンプルな人間」としていつもまっすぐ接してくれる。
「人間は誰でも誉められると向上心が湧く」と聞いた事がある。
人間みんなそうなの?
私は親に否定された事もないが誉められた覚えもない。
悔しい思いをするとコノヤロウと頑張ってきた。
旦那が私に「誉めろ」と言ってきた事がある。
は?なにを?どこを?
何を言っているんだ。
誉められない。
誉め方がわからない。
子供を誉めるのは簡単だ。
素直に誉める事ができる。
だが大人を誉めるのはできない。
相手が大人だと本音と建前が生じる。
誉めたとしても誉めた事になるの?
お世辞を言うとか煽てるということにならないか?
私はお世辞と煽ては嫌いなんだ。
本音じゃないから。
旦那は私の言う「シンプルな人間」ではない。
38年間生きてきていろいろな知識や考え方が詰まっている。
私から見ると機能が多すぎる電化製品と同じだ。
いらない機能がテンコ盛りだ。
過去に私に何も言わず飲み会に行ったり治療技術の講習会に行ったりされ
たことがある。
なぜ私に何も言わないのかと問うと
「君に言うと反対されるから」と決めつけられた。
ふざけるな。
勝手に行った場合の事をイメージして、私がこう返事するだろうと、たくさん
の機能を使って自分の中で未来を作っていたのだ。
旦那はよく、『誉めろ』とか『おだてろ』とか言う。
誉めろと言われても、そんな事面と向かって言う奴どうやったって誉められないわ。
何でも馬鹿正直に全部取り込まないで必要なのだけ機能にしろよ。
日々話をすると余計な機能が湯水のごとく出てくる旦那。
正直うざい。
私の個人的な考えだが多機能=幸福ではない。
余計なのが出てくるたびに消去しなければならない。
消去したと思っていても、忘れた頃にでてきたりしてなかなか消えない。
非常にタチが悪い。
早く必要な機能だけの使い勝手の良い電化製品になってほしいね。
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第2回 旦那の実家は大阪だ
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旦那の実家は大阪だ。
旦那に連れてってもらうまで大阪はテレビで見た事があるだけだった。
道頓堀、大阪城…いろいろ連れてってくれた。
お好み焼き屋、串カツ屋はもちろん、ねたがすごく大きく美味しいカウンターの
お寿司屋さんにも行った。
地下街の途中で入った豚カツ屋さんはこんなに大きいカツでキャベツも山盛りで
この値段!?
というような定食が出てきた。
もちろん味もうまい。
一番驚いたのが食べ終わって出て行った人達の皿だ。
何も残っていない。
東京で豚カツ屋さんに入り食べ終わった人の皿を見ると何かしら食べ残しがある
事が多い。
付け合わせのプチトマトが残っていたり。
ひどいのは千切りキャベツだけ手付かずで残されているのを見た事がある。
それがないのだ。
みんなキレイに食べる。
見た目もイイし作る人も嬉しいだろう。
そして当たり前の事だが食べ物を大切にするのはとても良い事だ。
たこやき屋にも連れてってもらった。
そこは美味しいと評判のたこやき屋だった。
旦那は話は聞いていたがそこのを食べるのは初めてだった。
1皿買い店から少し離れた所へ行き旦那が店に背を向けた形で私が旦那と
向かい合い店の方を向いた形で食べ始めた。
旦那は普段から声が大きい人だ。
「な〜んだ、別にただの普通のたこやきじゃん!」
彼にとっては普通のボリュームのつもりだっただろう。
だがとても大きな声だった。
店の男の人達のたこやきをひっくり返す手がとまった。
真顔でこっちを見た。
他の食べてる人達の中でも食べる手がとまりこっちを見ているのがいた。
なんだ!?コイツは…と言うような視線が旦那の背中に集まっていた。
「…ねぇ、あなた睨まれてるみたいよ」
「へ!?ホント?え!?」
旦那が後ろを見ると、店の男の人達は目を逸らし、通常業務に戻り他の人達も
目を逸らしてまた食べ始めた。
「立ち去ろう!」
旦那はアツアツのたこやきを口に詰め込んで私を連れてその場を去った。
「あんた何考えてんのよ?あんな大きな声で言う事じゃないでしょ。たこやき屋
だって自分達が焼いたもんあんな風に言われたら面白くないに決まってんじゃ
ん。せめて大阪弁で言ってればまだしも何で関東で言うんだよ。
大阪弁で言ってればまだ気持ち違うかもしれないじゃん」
「…すまん、なんというかその〜無意識に…ね」
「今度地元のもんにケチ付ける時は心の中で思え、どうしても口に出ちまうん
なら小さい声で大阪弁で言え。あんたどこで生まれてどこで育ったんだ」
「…大阪です」
そんなこんなでいろいろ連れてってもらい、旦那の実家にも連れてってもらった。
旦那の顔そのまんまの旦那のお父さんと、のんびりした雰囲気の旦那のお母
さんがいた。
座敷で話していると中くらいの大きさのゴキブリを私が見つけた。
「あのぉ〜ゴキブリですが…」
「えぇっ!?」
旦那のお父さんは素早く側の棚からガムテープを取り出し、走るゴキブリを
ベタッ、生きたままぐるぐる巻きにしてゴミ箱へ。
なにも生け捕りにしなくても…。
ゴキをガムテープで捕る人は生まれて初めて見た。
夕飯を終えて、旦那と歯を磨こうと二階に置いてある荷物に歯ブラシを取り
に行こうとすると、旦那のお母さんが歯ブラシを用意してくれていた。
歯ブラシを受け取りびっくり。
ブラシの部分がとてもデカかった。
口に入れるとブラシで口の中がいっぱい。
旦那が
「デカいよデカすぎるこの歯ブラシ」と言うと、
旦那のお母さんは
「大きい方がいっぺんに歯たくさん擦れてエェやろ」と、ニッコリ。
「デカ過ぎて動かせないわ!」
でもあなたは私と出会う前ブラシのデカいのを使っていたよ。
私がブラシの小さいのを買ってきた時小さいと驚きながら磨いていたんだ
よ…と、
旦那の横で私は大きな歯ブラシをくわえながら思っていた。
夜寝る時旦那のお母さんが私に
「枕キレイなの家になかったからスーパーで新しいの買うてきたの、
使って〜」と枕を渡してきた。
なんだか中身がパンパンに詰まってコロコロした蕎麦殻の枕だった。
素直に頭を乗せると首が超直角。
旦那も頭を乗せてみて
「なんだこれはぁ〜!?」と驚いていた。
「この枕ってさ、中身を自分の使い安いくらいにまで出してから使う物
なんじゃない?
あなたのお母さんそれ知らなかったのかなぁ〜」
「さぁ…今から糸切って中身出してまた縫うの?こんな時間にやってら
れるか。そんな事、知るか!こんな面倒臭い枕、放っとこうぜ」
旦那は枕を部屋の片隅に放り投げて寝始めた。
いいのかなぁ…使わないで…。
わざわざスーパーまで足運んで買ってきてくれたのに…と思いながらも、
枕無しで私も寝た。
そして次の日東京に帰った。いろいろあったがそれなりに楽しかった。
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第3回 金髪ピアス男
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ある日3歳の息子を連れて歩いていた。
前から、腕を組んで金髪で顔面ピアスだらけの男と、茶髪で耳だけ
ピアスの女が歩いてきた。
女は男の右側を歩き、男の左手にはタバコがあった。
このまま行くと、息子の顔にタバコが当たりそうだ。
「すいません、タバコ引っ込めていたたげませんか」
男はタバコを引っ込めなかった。
そしてすれ違いざまに
「うるせぇ〜んだよ、ババァ」
女は、手をたたきながら「ハハハ」と笑った。
ふ〜ん…。
「まて、ガァキィ」
二人は振り返った。
女は眼を見て相手の攻撃レベルが計れるらしい。
私と眼が合い笑っていた顔が冷めた。
男は計れないらしい。
食って掛かってきた。
「キサマ今なんて言った?」
「まて、ガキと言ったんだ聞こえなかったのかコラ」
「…あ〜?」
「アンタにババァと呼ばれても、痛くも痒くもないから構わんが、
息子の顔にタバコ当たったらシャレにならんわ。分娩費40万
出して何時間もかけて腹痛めて産んだんだ。テメェ〜の間違
ったカッコつけ方の犠牲になってたまるかボケ」
男は言い返せなかった。
女が突然低姿勢になり謝ってきた。
とりあえず和解しその場を後にした。
家に帰ってから、反抗期真っ盛りの息子が、妙に私の言う事
を良く聞くいい子ちゃんになっていた。
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第4回 会いたい友だち
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4年くらい前、私がバイトをしていた小さなスーパーにバイト仲間で韓国
からの留学生の女性がいた。
とても明るく、笑顔がステキで温かい人だった。
誰にでも人なつっこく、後ろから急に抱きついて驚かせてきたり、その当時
夕方から再放送でやっていたドラマにハマっていたりと、楽しい人だった。
彼女が話してくれる韓国の話も、とても楽しかった。
食べ物がおいしくて、やさしい人達ばかりだという印象を得た。
「行ってみたいな〜韓国」
私がそう言うと彼女は私の手を握って
「ぜひ行って、すっごくいい所、うん。」
と笑顔で言ってくれた。
その数か月後、私は子供が産まれるためバイトをやめる事になった。
その時彼女は
「寂しい」と私の手を握り泣いてくれた。
子供を産んで落ち着いた時に、スーパーへ行ってみたが、彼女はもう韓国へ
帰っていて、子供を見てもらう事はできなかった。
店長が「君がやめた後もよく君の話をしてたよ、会えて良かった、楽しかった
…って」と話してくれた。
3歳になる私の息子には、ありのままの歴史を学んでほしいと願っている。
私の個人的な考えだが、真実を知らないと本当の良い関係とは無縁だと思う。
私はまた彼女に会いたい。
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第5回 客とケンカした話
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私があるスーパーでパートとして働き始めた頃の話だ。
そのスーパーでは働き始めてから、3か月間「実習」というバッチを胸の名札の
下に付ける。
働いて長い人から
「若い店員をいじめる変な中年の女がいるから気をつけてね。」と言われた。
働き始めて2か月くらい過ぎた頃、私がレジに入っていると髪は一部紫、金の縁
のメガネ、耳たぶが伸びてしまいそうな大きなピアス、トラの絵のある黒いトレ
ーナー、黒いジーンズ、錦蛇色のバックを持ったオバちゃんが来た。
私が普通にレジをやっていると、そのオバちゃんは
「この前ここで買った南瓜がまずかった。」 と言いだした。
ちょっと変な人だと思ったが、私はとりあえず店員として金をもらい、その場に
いるお客様を悪く言ってはいけないと思い、
「申し訳ございません。南瓜にも当たりはずれがあるんでしょうね。」
と低姿勢に出た。
するとオバちゃんは
「本当にまずかったわよっ、南瓜の味のしない南瓜だった。あんたのレジで
買ったのよ、お金返してほしいわよ。」と言ってきた。
もう少し経ってからの私なら乗り切れただろう。
だが当時の私は乗り切れなかった。
「お客様の味付けのやり方が悪かったんじゃないですか。」
と言い返してしまった。オバちゃんもキレた。
「あんた客に向かって何っ!?その態度はっ!?」
さぁ負けたくない。
「店員だったら客に何言われてもペコペコすると思ったら大間違いだ、だいたい
南瓜の味のしない南瓜って何だっ?レモンの味でもするのかっ?そんな南瓜
あるなら持って来いっ。」
ケンカになった。
社員が走って来た。
「どうなさいましたか?お客様。」
オバちゃんは
「この娘がアタシの料理の腕をバカにしたのよっ。」
社員は訳がわからない様子だったが、テキパキとオバちゃんを丸め込んでくれた。
オバちゃんは
「まぁ実習生という事だし今日は大目に見てあげるわよ。あとどのくらいで実習生で
なくなるの?」と社員に聞いた。
「あと一月程です。」と社員は答えた。
オバちゃんは
「ちゃんと教育しなさいよ。」と言って帰って行った。
それから3か月くらい過ぎた頃、私が普通にレジをやっていると、髪は一部青紫、金の
縁のメガネ、耳たぶが伸びてしまいそうな大きなピアス、ビーズなどを使った孔雀の
刺繍の入ったトレーナー、ヒョウ柄のズボン、錦蛇色のバックを持ったオバちゃんが
カゴに南瓜を入れて来た。
オバちゃんはニッコリしながら「この南瓜おいしい?」と聞いてきた。
私もニッコリしながら
「お客様の味付け次第ですね。」と答えた。
「……。」
オバちゃんは普通にお金を払い帰った。
その後私のレジには来なかった。
時々少し離れた所からガンを飛ばされた。
飛ばされるたび私は笑顔で会釈した。
オバちゃんはガンを飛ばすだけで何もしてこなかった。
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プチコラム
『福神漬け』
くだらない話だが私は福神漬け派だ。
旦那はらっきょ派だ。
息子はどっちもあれば食べる。
私は結婚する前から、旦那に自分はカレーには福神漬けの方が好きで
ある事を伝えている。
私も旦那から、カレーにはらっきょの方が好きだと教えられた。
私はカレーを作ると、福神漬けと一緒にらっきょも買う。
だが旦那は福神漬けを買ってこない。
メールでカレー作ったと送ると、必ず自分の好きならっきょしか買って
こない。なんて物覚えの悪い奴なんだ。
結婚して8年になるが、私が何も言わないで福神漬けを買ってきてくれた
のは、2回だ。私が買ってきてと言って買ってきてくれたのが3回、頼んだ
のに、忘れてらっきょしか買ってこなかったのが2回だ。
いい加減に覚えてほしい。
私はカレーには福神漬けなんだよっ。
ちょいと箸休めに戻る
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