陽子さんのコラム16話から20話


☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆

16話 性格の問題

☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆


旦那と結婚していない頃、旦那の家に遊びに行くと、テーブルの上にコップ
や湯呑みが2〜4個並んでいる事がよくあった。


来客があったわけでもなく、一人暮しなのになんで複数出てるのか不思議
だった。
ある時その理由がわかった。


何かを飲み、しばらくしてまた何かを飲む時、新たにコップを出してきて、
飲んでテーブルに置きっぱなしにするのだ。
そして夕方頃に4個とか出揃うらしい。
「あのさ〜、一回何か飲んだら使ったコップとか片付けなよ。」
「あ〜、そうだね〜、うん、わかった、そうする〜。」


後日、旦那の家に遊びに行くと、テーブルの上に湯呑みやコップは並んで
なかったが、テーブルの上に水で濡れて乾いた跡のようなものがあった。
なんとも不思議だった。
ある時その理由がわかった。



使って洗ったコップや湯呑みをしばらくして拭かないで、濡れたまま飲み物を
入れてテーブルに持ってきて飲んでいるのだ。


「あのさ〜、洗って片付けたのはいいんだけど、また使う時に拭いた方がいい
んじゃない。」
「あ〜、そうだね〜、うん、わかった、そうする〜。」


後日、旦那の家に遊びに行くと、テーブルの上に湯呑みやコップもなく濡れて
乾いた跡もなかった。
旦那が麦茶を入れてきてくれた。
一度使って、洗ったコップのケツの方だけ拭いて入れてきた。


持つ所はビショビショ。
「オィ、全部拭けよ。」
「イャイャイャイャイャイャ、まぁまぁ、どうせ冷たいもんコップに入れると周りが
水滴で、ビショビショになるだろ〜、拭いても意味ないって!」
「……。」


それからしばらく経ったある日、旦那の家に遊びに行き、試しに温かいものを
入れてもらった。
やっぱりケツの方だけ拭いた湯呑みに入ってきた。


「持つとこビショビショじゃねーか、今度は水滴なんて言わせないぞコラ。」
「あ〜、…ハハハハハ。」
「ハハハじゃねーだろ、ケンカ売ってんのかコラ。」
「ケンカは売ってないよ、これは俺の性格の問題なんだ、うん。」
「直せ。」
「わかりました。」


この日から何年後か過ぎ、私の誕生日に夕飯を食べ終えて、片付けも終わって、
のんびりテレビを見ていると、旦那が
「ケーキ買ってあるよ!食う?」
と言ってきたので食べる事にした。


夕飯の時に使って、洗って濡れている皿に、嬉しそうにケーキを乗せて持ってきた。



☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆
  
17話 鼻づまりに悩む彼

☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆


ある日の夜、息子が布団の中で一人で怒っていた。
「もぉー、なんだよぉー。」
また、しばらくして
「なんでなんだよぉー。」


またまた、しばらくして
「もうイヤだ、いいかげんにしなさいっ。」
「ねぇ、どうしたの?誰に怒ってるわけ?」
「はなのなかにいるバイキンマン。」


「は??」
「だってさぁ〜、いまね、マサユキがこっち向くと、こっちがフタして、こっち向くと
こっちがフタになって上向くとこっちもこっちもフタになってさ、こんなんじゃねら
れない。」


「とりあえず鼻かんでみたら?ティッシュ持ってくるね。」
息子はティッシュで鼻をかんだ。
「どう?大丈夫?」
「うん、スッキリした、おやすみなさい。」


そして、しばらくして
「なんでフタするんだよぉ〜、もぉ〜、おかあさ〜ん、ティッシュちょ〜だ〜い。」
「はい、ティッシュ。」
「フ〜ンッ。」
「大丈夫?」
「いきができないの、どうしたらいいの?」


「しょうがないから今だけ口で息するしかないかな…。」
「わかった、おやすみなさい。」
よ〜し、今度こそ寝てくれたかな〜?


「おかあさ〜ん。」
え〜!?マジかよぉ〜。
「な〜に?」
「口でいきすると、のどかわく。」
「じゃあ、水持ってくるね。」
息子は水を飲んだ。


「おかあさ〜ん、口だとのどかわいてねられないよ。はな、フタになるやつすぐなおるの
しらないの?」
「蒸しタオル乗せてみる?」
「ムシタオル?」
「温かいタオルを鼻んとこ乗せて鼻づまりが楽になったらはずして寝るの。」
「なおるの?」
「治らないけど楽になるよ。」


「マサユキはなおりたいんだよ。ラクになってもうれしくないの、なおりたいんだよ。」
「鼻づまりが一瞬にして治る方法なんてお母さん知らないよ。」
「しっとけよ。」
「そんな〜。」
「ハナづまりなおせないおかあさんはキラい。」


「…あのね、アンタがお母さんをキラいになろうがスキになろうがアンタの勝手
だけどさ、鼻づまりになったのはお母さんのせいじゃないし、お母さんが一生
懸命ティッシュ持ってきたり水持ってきたりしたのは認めてよね。
それじゃあおやすみ。」


「……おやすみなさい。」
しばらくすると息子は寝ていた。
その後旦那が帰宅し、少し話をしてから私も息子の隣で寝た。


なんだ?
顔の前に生き物の気配を感じる。
ハァッハァッハァッ…、何?犬?
よいしょっ…と目を開けると、息子の笑顔が私の顔の5cmくらい前にあった。
「……っ!?」


「おかあさんっ、おはよ!あさだよ!」
「え…、そう…、おはよう。」
「ティッシュとお水ありがとね!」
「…あぁ、どういたしまして…。」
「お父さん、寝てるよ。」


「そうだね、ねぇ、こんなに早く起きて何するのさ?」
「わからない。」

時計は午前4時35分を差していた。



☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆

18話 母乳育ち

☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆


息子を産んだ病院は、母乳重視の病院だった。
「お疲れ様でした!良い御産ができて良かったですね!
初乳が出たら飲ませに行きましょうね!」
しばらくして、初乳が出たので、飲ませることになった。


初めての子で、私にとって何もかも初めてづくしだったので、新生児室の人が
必ず側にいてくれた。
息子はスヤスヤ眠っていた。


「寝てますね。」
「抱っこして口にふくませちゃえば飲みますよ。」
「え…、そんな事していいんですか?」
「大丈夫、大丈夫!」
私は言われた通りに息子を抱き乳房を口にふくませた。


「…ング、フング、…ンギャ…。」
「…なんか、かなり迷惑そうですよ。」
「迷惑だろうと何だろうと初乳は大切ですから!」
「はぁ…。」
乳をあげるのは、時間を決めてあげるのではなく、息子が泣いたらあげるという
、やり方だった。


私は、夜だけ息子と同室にせず、息子を新生児室に預け、息子が泣いたら呼びに
来てもらうというのを選んだ。
大部屋だったので、他の出産を終えた人達を起こさないように、暗い中、懐中電灯
片手に看護師さんが静かにシタシタ走ってきて小声で私を起こす。


「高田さ〜ん、息子さんが泣いてますよ〜。」
「はい、わかりました。」
新生児室へ行って戻ってきて、2時間近く過ぎた頃、シタシタシタシタシタシタ…、
あ…、私かな…。


「高田さ〜ん、む…。」
「はい。」
「あら、起きてたの?」
「なんとなく、そんな感じがしたんで…。」


また、新生児室へ…、戻ってきて2時間近く過ぎた頃、シタシタシタシタシタシタ…、
走ってきた、まただ、起きなきゃ、よいしょ…。看護士さんはカーテンを開け、起きて
いる私を見ると、持っていた懐中電灯を自分の顎にあてた。


「ジャン♪」
「…なんですか、あなたは。」
「ん?看護婦さん!」
「ハハ…、わかってますよ、そんな事。」
「だって、高田さん、起こす前に起きてるんだもん。」


「だからって、懐中電灯で顎んところから自分の顔照らすのは無意味でしょ。」
「あら、面白くなぁ〜い?学生の修学旅行の時とか部屋真っ暗にして、みんなで怖い
話とかするとき顎のところで懐中電灯つけてやらなかった?」
「…いや、私は……。」


「あらそぉ〜、世代の違いかしらね〜、結構楽しいのよぉ〜、私はこれをやると学生
時代の懐かしいキモチを思い出すのよぉ〜。」
「…あのぉ〜、息子の所に行ってもいいですか?」
「あぁ〜、そーだ、そーだ、行って行って!」行って行ってって…あのなぁー。


新生児室へ行くと息子は泣いてなく、なんだかム〜ンとしていた。
新生児室の人がきて言った。
「息子さん、しばらく泣いてたけど、なんか…、泣き疲れたみたいですね…。」
あの妙な看護師のせいだ。


息子疲れちまったじゃないか…。
次の日の夜も、妙なキャラで、私を呼びに走ってきた。



☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆

19話オハギのようなダンゴムシ

☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆

2005年11月末で4歳になる息子はダンゴムシ集めにハマって5か月になる。
毎週日曜日、又は保育園に登園していない土曜日の天気の良い午前中は、
ダンゴムシ集めの時間だ。


楽しそうにダンゴムシを20〜40匹集め、1匹選んで手に乗せて手の中で歩か
せたりして観察した後、全部公園のしげみに逃がしてくる。
毎週毎週ダンゴムシ集めをやっていると、だんだん見るのも触るのも慣れてくる。
初めは嫌々付き合っていた私だが、最近は義務のように息子と一緒に集めている。


仕事で何かを扱うのと同じ感覚だ。
そしてダンゴムシも、色やツヤ、体格もそれぞれ違うのが解るようになり、20〜40匹の
ひしめき合うダンゴムシの中から、
「さっきあそこで見つけたダンゴムシだ!」と、探し当てる事ができるようになってきた。
そんなもんできるようになっても何の役にも立たねーよ。


8月13日の土曜日の午前中にまたダンゴムシ集めに出掛ける事になった。
モズクの入っていた入れ物片手に、息子は元気にダンゴムシがたくさんいる、いつも
集めている川沿いの遊歩道へ私の手を引き歩いて行った。
前の晩に雷が鳴り雨がたくさん降ったせいかダンゴムシが見つからなかった。


「お母さん、いないよ、なんで?」
「昨日夜に雨いっぱい降ったからかなぁ。」
「雷も鳴ったから?」
「うーん…。」


息子は枯れ葉をどけたり、川沿いの家に住んでる人が置いている植木の下を覗いたり
頑張って探していた。
私は側で青々とした桜の木を見上げたり好き勝手にしていた。


「お母さん!いた!見つけたよ!オハギみたいなダンゴムシ!」
は?オハギみたいなダンゴムシ!?
そんなやつがいるのか?


息子はモズクの入れ物に入れて持ってきた。
「……っ!!」本当にオハギみたいだった。
丸〜いムックリした黒くツヤツヤの大きい、なんだか動きの鈍いダンゴムシだった。
「なんだこりゃあ、ジィさんかバァさんダンゴムシか?」
息子が
「君は、おじいちゃんかおばあちゃんなの?」と言ってダンゴムシの背中を指でなでた。


するとダンゴムシの下から白くて胡麻よりも少し小さいダンゴムシの大群がブワァ〜っと
出てきた。
「うわぁぁ〜っ。」私はびっくりして思わず声をあげてしまった。
息子は入れ物を持ったまま固まっていた。


「…お母さん、生まれたよ、ダンゴムシの赤ちゃんだ!このダンゴムシさんは妊婦さんだっ
たんだね!」
気っ色悪りィ〜っ、勘弁してくれよ〜っ。
「…そうだね。ねぇ、公園に逃がしに行こう。」
「ねぇ、赤ちゃん達のお父さんダンゴムシはどこにいるの?一緒に探して!」


冗談じゃねーよ。
「知るかっ、オヤジの居所なんて。」
「…お母さん、もしかするとダンゴムシの赤ちゃん見るの嫌いなの?」
「うん、ごめんね、嫌いだ。」
「じゃあ、早く公園行って逃がそうね。お父さんダンゴムシは於いてっちゃおう。」
それにしてもびっくりだった。
見た時一瞬私の中で時が止まった感じだった。




☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆

20話 泣き虫の3歳児

☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆

9月に入り、保育園で運動会の練習が始まった。
息子(11月末で4歳)は運動会の練習が、あまり好きではないらしい。
1歳、2歳クラスの時は、踊りの合間に一休み入っても大目に見てもらえた
が、今回はそうじゃないようだ。


「ちゃんと、踊ろうね。」
と、言われれば言われる程、彼は踊らない。
毎日帰ってくると息子は、「保育園楽しかった。」と、満面の笑みで言う。


「運動会の踊りの練習はしたの?」
「やった。」
「上手にできた?」
「やんなかった。」
「踊らなかったの?」
「うん。」


最近の保育園から帰ってからの親子の会話は、こんな感じの繰り返しだ。
保育園に行くのは嫌がらない。
保育士さんも友達も大好きだ。
だが、運動会の練習は好きではない。


気が向いた時だけやる。
踊りたくない時に踊れと言われても踊れない…これが息子の考えだ。
3歳になり、他人に、あ〜せいこぉ〜せいと言われると背を向ける事が、
やたらと多くなった。


今、自分はこれがやりたいんだという気持ちを強く訴えてくる。
家でも、正直扱いにくくなった。
なかなか物事が進まない。
こちらの都合に合わせて動いてくれない。


時間が遅くなり眠気がでてくると不機嫌になり更に扱いにくくなる。
今、お風呂に入ってほしい時にかぎって、
「積み木が終わってから入る。」とか言ってくる。
力づくで風呂に叩き込むわけにもいかない。


「お風呂の後に積み木しようよ。」と、淡々と説得を始める。
気長にゆっくりと話しているうちに、風呂に入る気になってくれる。
だが、ある時ずっと背を向けたままだった。


「ねぇ、お風呂入ろう。」
「今、これやってるの。」
「お風呂の後にしようよ。」
「どうして、お風呂の後になるの?」
「眠くなっちゃうと、お風呂に入るの大変になるし、寝るのも遅くなる
から。」
「これやってからお風呂入るの。」


今までは、説得しながら待っていた。
でも、とうとう本音を言ってしまった。
「……眠くなると泣いて怒るでしょ、あれがもう嫌なんだよ、お湯がかかる
のも、着替えるのも、泣いて怒って…、あれが、イ・ヤ・な・のっ。」
「……入る。」


その時は、すんなり入る気になってくれた。
そして、もう一つ多くなったのが、泣く事だ。
自分の思い通りにならないと泣いて大声で喚く。怒る。


失敗すると泣く。
出来ないと泣く。
手を洗い、服の腹の部分が濡れたら泣く。
うがいをしていて、間違えて飲んでしまい泣く。
食事中に、こぼしてしまって泣く。泣き、怒り、私にぶつける。
ブロックが思い通りに出来ない怒りを、服が濡れた怒りを、飲んでしまった
怒りを、こぼしてしまった怒りを。


なぜ私なんだ?
私が何をした?
また泣くか…。それは私のせいじゃないだろう。
泣くんじゃねーよ、コラ。ムカつく…。


毎日必ず2〜3回は私にとって納得出来ない怒りを向けられる。
私も生身の人間、我慢するのがキツい。
祖母(私の母)が遊びに来た時、彼は祖母に怒りをぶつける事はなかった。


彼が怒りをぶつけるのは私だけなのだ。
ぶつけたいだけぶつけて、その後必ず彼が私に言う言葉。
「抱っこして。」


ふざけんじゃねーよ。
私は面白くない気持ちだが彼を抱っこする。
彼は気持ちの中では、自分でやりたい!、やれる!と、思っている様だ。
でも、実際は出来ない。
そして泣き怒る。


そっと少しだけ手を貸し、出来た事を喜び誉める。
子供って、なんて気を使う生き物なんだ。
難しいったらありゃしねぇ〜。
ハッキリ言って疲れるわ。
身がもたねーよ。
さっさと気持ち相応の運動能力と技術の人間に育ってくれや。


ちょいと箸休めに戻る
☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆☆

湧泉堂治療院  沼袋4−27−14

電話03−3388−3123

トップページへ戻る