陽子さんのコラム11話から15話



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第11回 結婚の現実  

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「結婚=幸せ」なのだろうか?
違う土地で生まれ育ち、まったく考え方の違う2人が、一緒に暮らすのだから
食い違いも多々ある。


食い違いがあるたびにキレイに見えてた人が、汚く見えてきたりするものだ。
私の個人的な考えだが、人間の記憶や思いというものは曖昧で、チョイと
突いただけで、まったく違うものになってしまう脆いもんだ。
結婚というものは相手のすべてを受け入れなければならない。


食い違いをいちいち話し合うのは面倒なもんだ。
ある朝、旦那になかなか起きない3歳の息子を起こすのを頼んだ。
彼は息子のズボンとパンツを下げ半ケツ状態にした。
なぜそんな事するのかと問うと、彼は、こうすると起きると即答した。
確かに息子は起きたが、理解できん。


そんな起こされ方で、さわやかな朝を息子は迎える事ができるのか?
精神衛生上良くないだろうが。
アンタは子供の頃に毎日そうされて起こされたのか?
まったくしょ〜もない事ばかり次から次へと思いつきやがって。
やる事がレベル低過ぎ。
もちろん結婚前にこんな事する人だとは思わなかった。


結婚に対する考え方も人それぞれだ。
私は昔から冷めまくりの人間なので、結婚後も
「まぁ、こんなもんだよな」という感じに淡々と生きている。


結婚後はバラ色の生活が待っている?
理想と現実は別だよ。
バラ色なわきゃね〜だろ〜が。
美男だの美女の相手を見つけたって、年とりゃみんなジジババになるさ。


子供なんて生まれた日にゃ金が右から左だっつーの。
私は個人的に
「アタシ絶対金持ちの男見つけて玉の輿狙うんだ!」
って言ってる独身女は大嫌いだ。


自分一人じゃ絶対に金持ちになれないし、将来不安だから他人の財布宛に
しますと言っているようなもんじゃないか。
男を生きるダシとしてしか考えていない。


それこそ真の負け犬に思える。
情けない人間に見えてしかたがない。
私は、仕事をバリバリこなし、地に足をつけて人生を歩む独身女性は、歳が
いくつであろうとステキだと思う。





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第12回 誰のために?  

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小学校6年生の頃運動会の各学年の出し物で組体操をやった。
私の通っていた学校だけでなく他の学校の6年生も組体操をやっていた。
難しい事ばかりだった。


オーケストラの音楽に合わせながら、私が両腕を広げて立ち、パートナー
になった人が、私の後ろで逆立ちをすると、私の肩の所にパートナーの人
の足がくる。
その足を引っ張ながら、少し前屈をするとパートナーが持ち上がる。


パートナーの人も、腹筋を使い起き上がる。
そして私が、パートナーを肩車する。
その後私が、パートナーを肩車した状態のまま足を曲げ、自分の膝に、
パートナーを肩車から降ろし、パートナーは私の膝の上で立って両手を
広げて、重心を前へ…


私は、パートナーの足のももの部分に手を添え、パートナーを支えながら
重心を後ろへやって二人でバランスをとる。
放課後遅くまで練習が行われた。
苦戦している組が何組もあり、私とパートナーになった人もその中の一組
だった。


私が上手くやれなければパートナーの人は起き上がれない。
下手をするとパートナーの人にケガをさせてしまう。
恐かった。


なぜこんな事しなければならない?
誰のためにやってるんだ?
授業終わって残ってずっとこんな事。
とても自分のためになる事をしているとは思えない。


「お前のやり方が悪い。何度言ったらわかるんだ」
と言って当時の担任が私の後頭部を叩いた。


口で説明するのは簡単だ。
じゃあテメェやってみろよ。
他の先生連れてきて見本見せてみろよ。


これをやる難しさが、やった事もない奴にわかるのか?
難しいもん押し付けてきやがって。
やる方の身にもなってみろ。
明日から登校拒否してやろうか…。


自分の中でグダグダ思いながらも、なんとか練習を頑張り、数日後に
できるようになった。


そして運動会で立派な組体操を披露した。
運動会の後の数日後、いくつかの学校の6年生だけが集まり、行われ
る連合運動会があった。


他の6年生の組体操は、安全かつ簡単で、それでも全員きちんきちんと
そろっていてキレイなものだった。
自分の学校の組体操はズバ抜けてレベルが高かった。
なんで?


何かやるたびに歓声が上がる。
なんでこんなに組体操に力入れたんだ?
あんなに放課後遅くまで練習させられて…
でも、もうこれで最後なんだ、もうこれでやらなくていい、解放される。
よかった…。


閉会式で
「○○小学校の組体操は凄かったですね、実に素晴らしかった!」
と話された。


鼻高々な表情をしている担任達が印象的だった。





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第13回 女は面倒くさい 

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小学校時代のある日のクラスメート達の会話。
「ねぇねぇ、トイレ一緒に行こう。」
「うん、いいよ。○○さんも一緒に行かない?」
「うん、行く。」


は?
なんでトイレにそんな大勢でゾロゾロ盛大に行く必要があるんだ?
そしてトイレに着くと、一人だけトイレに入り、残りは洗面所の鏡の
前で髪をいじくりまわしたりして待っている。
ついでに自分もとトイレに入る様子はない。


トイレに入った人が出てくると、また大勢でゾロゾロ盛大に教室へ
帰って行く。
なんなんだ?コレは…。


中学校時代のある日のクラスメート三人の会話。
「ねぇ、今日○○さん部活あるの?」
「うん、あるよ。」
「じゃあ、更衣室一緒に行こう。」
「うん、いいよ。」
「△△さんは?今日部活あるの?」


「あるけどその前に図書室に本返してから行く。」
「付き合おうか!」(オイオイ、アンタは更衣室に着替えに行くんだろ?)
「え!ホント!助かるぅ〜!」
は?
何が助かるのさ?


本返しに行くくらい一人で行けるだろ?
図書室が怖いのか?
「○○さんも一緒に行こう!」
(なんで○○さんも図書室に行く必要があるのさ?)
「うん!」
えぇ〜!?


小学生や中学生の時、一人がどこかに行くとなると必要以上の人数で
目的地に行く光景をよく目にした。なんとも不思議に思えた。


小学生の頃なかなか治らない風邪をひいてしまった事があった。
20分間の昼休みに、私は教室に一人で自分の席で寝ていた。


ある男子が入って来て話しかけてきた。
「お前、一人で何してんの?」
「寝てんの。」
「いや…、それはわかるけど…。」
「寝てちゃ悪い?誰にも迷惑にならないでしょ。」
「まぁ…そうだけど。」


「風邪ひいてなかなか治らなくてね。」
「ふ〜ん、お前って嫌われてんの?」
「まぁ、嫌われてるんじゃない。よくわかんないけど。」
「よく平気でハッキリ言えるね〜。」


「全員に誰にでも好かれる人なんてこの世にいるわけ?
みんなその場にいない人の悪口替わりばんこに言ってるし、女達の
輪って気色悪いもんだよ。
誰か一人のために、ゾロゾロ付いて行く金魚の糞の一部にもなりたく
ないしね。でも、こんな私でも友達になってくれる人はいるよ。
決して多いとは言えないけどね。」


「あ〜、あの大勢で便所行ったりするのアレ何なの?」
「知らな〜い、前に××さんに一緒にトイレ行こう言われた事があ
ったけど、その時に3組の人に借りた教科書返しに行きたいからっ
て言ったら付き合うって言われて、でもアナタはトイレ行きたいんで
しょ、我慢すると身体に毒だよって言ったらなぜか怒ってんだよね。」


「そうなんだ…、で、謝ったの?」
「なんで謝らなきゃならないの?私のどこが悪いのさ。」
「いや〜わかんないけど怒っちゃってんだろ。」
「自分が悪いかどうかわからないもんに謝りたくないね。」


「でも、嫌われるの嫌じゃね〜?」
「私は気の合わないのとニコニコするのは出来ないんだよ。一生懸命
嫌われないよう頑張らないと一緒にいられないのなら、それはホントの
友達とは言えないんじゃない?」
「お〜。」


「◎◎さんが髪切ってきたのがさ、☆☆さんの髪形に似てるので◎◎
さんがマネしたんだって陰口たたかれてたんだよ。
たまたま同じ美容師にやってもらってその美容師がワンパターンな
技術しかなかっただけだと思わない?▲▲さんがさ、たまたま▽▽
さんと目が合ってすぐにそらしたら、▲▲さんが▽▽さんを無視した
とかって悪口が陰で流れてたわよ。もぉ〜嫌な世界だと思わない?
だから関わりたくないのよ。疲れるだけなんだもん。」


「でも、独りぼっちは嫌じゃねぇ〜?嫌われてるって誰が見てもわかる
し。」
「周りがアイツはいつも独りだ、独りでいる事が当たり前、いつもの事だ
って自然な事となってしまえば楽だよ。相手にされないのは痛くも痒くも
ない。悪口言われる事もないし私には居心地がいい。


さっきも言ったけどこんな私でも友達になってくれてる人は何人かいる、
その人達は私のこの考え方をきちんと理解してくれてる、私はその人
達だけで十分なんだ。
友達は数が多けりゃいいとは思わないね。嘘の友達はいらん。
でも友達になろうって来たら普通になるわよ。
手っ取り早く言えば来るモノ拒まず去るモノ追わずみたいな?」

「ふ〜ん…。」



私の個人的意見だが、女は面倒臭い生き物だな〜と思う。





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第14回 旦那のスキヤキ  

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まだ結婚していない頃。
旦那が、仕事が先に終わる日には、旦那が自分の家で夕飯を作り、
後から仕事を終えた私が、旦那の家に寄り、夕飯をごちそうして
もらって駅まで送ってもらい帰るというパターンの期間があった。


旦那はチビチビ酒を飲みながら飯を作るらしく、私が寄る時には、
だいたいホロ酔いでヘラヘラした状態だったが、味はいつも確かな
モノだった。


旦那は大阪出身だ。
ある日、スキヤキを作ってくれた。
「いやぁ〜、スッゴイうまいのが出来た!食って〜。」
「へ〜、いただきま〜す。」


「どう?」
「……うん。」
「何?」
「……うん。」
「だから何?」


「…ウチの実家でスキヤキってやった事ないから、本当のスキヤキの
味よく知らないんだけど…こんな甘いモンなの?」
「なんだよっ、人がせっかく気持ち込めて一生懸命作ったのにニセモノ
だって言うのかよっ。」
「いや、そうじゃなくて…。」


「こっちだって仕事終わって、疲れてるのに買い物して作ってだな〜…」
「そっちが私に、俺が先に仕事が終わった日は夕飯作ってあげるから
家来て食べて帰らない?一人で食べるのもつまらないし、俺作るの
好きなんだって言って来たんでしょ、私はアナタに夕飯作ってくれなん
て頼んだ覚えはない、疲れてんならさっさと寝ちまえばいいだろうが。」


「作った人間の気持ちを考えて言えよ、ニセモノなんて言うことないだ
ろぉー。」
「ニセモノなんて言い切ってないし、だいたい ゛どう?″って聞いてきた
のはそっちじゃない。」
「作った人間が、味の事聞いて何が悪いっ?」


「じゃあ言ってやるわよ、甘いわよ、甘すぎる、なんだかひたすら甘いだ
け、甘い肉おかずに飯食えるか、菓子じゃね〜んだ。口に入れた瞬間
びびったわ。
甘い肉なんて生まれて初めて食った、まさに未知との遭遇だっ。」


「コノヤロ〜、もう二度とスキヤキ作らねー、死んでも作らねーからなっ。」
「お〜、そーしてもらえると助かるわっ、心の底から礼を言う、ありがとう。」
「ほら、駅まで送るから早く靴履けよ。」
「アンタがそこどかないと履けないんだよ、こんな犬小屋みたいな家住んで
何が楽しいんだっ。」


「家は楽しいか楽しくないかで選ぶもんじゃないだろ、じゃあなんだ、アンタは
不動産屋行って楽しい部屋空いてますかって聞くのかよ。」
「やかましいわボケ。」


この日から4年後、結婚もして、それぞれ仕事して、なんだか淡々と生きて
いたある日、私が仕事から帰ると先に帰っていた旦那が夕飯を作っていた。
「おかえり!夕飯作ったよ!ほら見て!ババ〜ンっ!」
ババ〜ンって…オイオイ。


「これってさ…。」
「スキヤキ!うまいよぉ〜っ!」
「……アンタ何も覚えてないの?」
「ん?何が?」
「死んでも作らないんだろ?」


「何を?」
「スキヤキ。」
「なんで?」
「もう死んだのか?頭の中だけ。」
「は?生きてるよ!どこもかしこも御健在御健在!」
「……。」
「もぉ〜早く食べようよ、俺腹減っちゃったよ〜。」


テーブルの上には美味しそうな未知の世界が広がっていた。





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第15回 生きる場所  

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「結婚は人生の墓場だ」友人の何人かが私に言った言葉だ。
確かに独身の時の身軽さは失うかもしれない。
金銭的にもシビアになるかもしれない。
だが、結婚後の生活を墓場にするか生きる場にするかは、自分次第だと
私は思う。


自分が選ぶ男性のタイプにもよるだろう。
家事は一切ノータッチの男を選んでしまえば、晩年あたりに家政婦的な
生活が待っているのは間違いないだろう。
結婚する前や、結婚初期に自分の地を見せず、背伸びしてはりきり過ぎ
てしまえばその分窮屈な生活がやってくる。


結婚するという事は、死ぬまで生活を共にするのだ。
死ぬまでですよ。
家を買うのを、人生最大の大きなお買い物と言うが、結婚はそれよりも
デカいものだ。


“地”を見せずにいたらとんでもない事になる。
相手に見にくい部分を見せたくない、良い自分を見せたい気持ちはよく
わかるが、地を見せてその自分の持って生まれたキャラクターを受け入
れられない相手なら、その人と結婚しても待っているのは墓場orバツイチ。
受け入れてもらえれば生きる場が待っている。


極端な話、屁もこけない家なんて冗談じゃない。
こけなかったら身体に毒だ。
どんなに美人な女でも出るもんは出るんだ。
屁をこいて引く男がいるのなら男の方がおかしい。
屁が出るのは身体が正常に機能している証。
出ないんじゃ医者に相談しないとならんだろう。


私は、旦那が掃除が下手で物忘れが激しく、金無しで足が臭いのを承知で
結婚した。
私も旦那に地を見せている。


結婚前のある日、私は八宝菜を作った。
「お!美味しいね〜!」
「そう、ありがとう。でも私料理作るの嫌いなんだ。」
「…え?だって作れてるよ。」
「うん、作れてるね。」
「美味しいよ。」


「うん、だから、ありがとうって言ったじゃん。」
「嫌いなの?」
「作れれば好きだって誰が言ってたの?」
「……あぁ…。」
「切ったり皮剥いたりってコマコマした作業が大嫌いなんだよ。やってて早く
切れろよとか早く剥けろよってムカつくんだよね。」
「…へぇ〜。」


旦那には、私が料理が嫌いで、洗濯物を干すのはいいが、畳むのが嫌いで
役所関係が嫌いで、言葉使いが悪いのを承知してもらい結婚した。
おかげでそのまんまの自分でいられる。


子供を産むと大幅に自分の時間というものが減る。
化粧なんか簡単に済まし、汚れても悔いの無い服を着て、毎日毎日子供と
ワンセット。


子育ては出費がかさむ。
経済的にも大変だ。
一見、縛られてる様に見えるだろう。


だが子供が自分の顔を見ると笑い、言葉が出せない分手足をパタパタ動かし、
一生懸命自分の気持ちを伝えてくる。
毎日がとても早い。
毎日必ずいつの間にか進化する。


初めて寝返りができたり、お座りができて、ハイハイができて、立つ、歩く、
お母さんと呼ぶ…
子供はすぐに自分の足で歩いて行くようになる。
いずれ嫌でも自分の前から離れていく。
その子は世界中どこを探してもここにしかいないのだ。


ワンセットの期間はとても短い貴重な時間だ。
毎日新しい出来事がある。
マンネリ化していない。
私個人の場合だが、独身で毎日自宅と職場の往復をしている時よりは面白い。


なんでも蓋を開けてみないとわからない。
その人にはその人の生き方がある。
人生は流されるモノではなく作るモノなんだ。
その場所を墓場と作り上げるか生きる場に作り上げるかは自分次第だろう。

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